2021.02.25

Homing ビジネスプランコンテスト 2021 を開催しました!

Homing ビジネスプランコンテスト 2021 を開催しました!

レプタイルの外部パートナーの Keddy です。
2021 年 2月7 日に、津山文化センターにて開催された、Homing ビジネスプランコンテスト 2021 をレポートします。

ふるさとベンチャー起業を応援する、Homing ビジネスプランコンテスト 2021

津山・美作地域で新たにビジネスに挑戦する創業希望者・第二創業者や、起業家精神を持った学生、また、地域課題を解決するコミュニティビジネスで起業を目指す方の発掘、支援を目的としたビジネスプランコンテストです。

「日本一優しい創業スクール」を謳う創業支援スクール「Homing」の受講生に加え、一般エントリーの参加者の中から、ファイナルステージに残ったのは 3 部門、合計 9 名。地域にイノベーションを起こす志を持ったファイナリスト達が、試行錯誤しながら練り上げたビジネスプランを 1 人 3 分で発表しました。

この中から、「津山朝日新聞社賞」「つやま産業支援センター賞」「津山信用金庫賞」「大賞」の 4 賞が選ばれます。審査員は津山産業支援センター・副センター長 兼 津山市産業文化部長の明楽さん、津山信用金庫・常勤理事の平木さん、レプタイル株式会社・代表取締役の丸尾さんの 3 名。

「独自性」「実現性」「発展性」「地域性」「プレゼン」の5項目で、総合的に評価が行われます。

今年で 3 回目を迎える Homing ビジネスプランコンテストですが、今年はコロナの影響もあり、観覧は関係者を除いてオンライン配信という形となりました。
※当日LIVE配信した動画は、Youtubeにアーカイブしています。臨場感高めなので、ぜひご覧ください。
▼Homing ビジネスプランコンテスト 2021 全編

レプタイル株式会社・代表取締役の丸尾さんの挨拶、津山市長からのファイナリスト達へのエールでコンテストは幕を開けました。

今回のコンテストは「学生部門」「創業部門」「ビジネス部門」の 3 部門に分かれており、それぞれ 3 名がファイナリストとして出場します。

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まずは全体のトップバッター、学生部門の1人目 岡山大学4年 堂本一樹さんによる

「Muscle FoodBox 最高の筋飯*をあなたへ」(筋飯はキンメシと読みます)

大学 1 年時に「女の子にモテるため」筋トレに目覚めた堂本さん。

多くのトレーニーやボディビルダーが、1 日 5~7 食を摂らなければならない中、炊事に十分な時間がとれず悩んでいることに着目し、高たんぱくで低資質の筋肉弁当をトレーニングジムで販売することを思いつきました。リサーチの結果、岡山駅周辺には同種の筋肉弁当を売っているところがないことが分かり、ビジネスチャンスがあると見ています。ゆくゆくは全国展開も目論んでいるそうです。

筆者も以前パーソナルトレーナーをつけて 3 か月で 8 キロの増量を行ったことがありますが、食事が何より大変だった記憶があります。栄養補給の効率化のサービスが受け入れられることを願います。

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続いては就実大学 2 年 小林拓翔さん

「パフォーマーとお店をつなぐエンタメサービスDistroom」

ご自身もマジシャンである小林さん。

コロナの影響により、マジックや弾き語りなどのライブパフォーマンスに直接触れる機会が世の中全体で減少してしまったことを問題視。裏側にはパフォーマーも活躍の場を失ってしまっている現状もあります。Distroom は、飲食店などの場所を提供できるお店などの事業者と、パフォーマーのマッチングを行うことにより、場所を貸す側、パフォーマー、そしてパフォーマンスを楽しみたい個人の「三方よし」を実現するサービスです。事業者からは固定費(=プラットフォーム利用料)と従量課金(=マッチング成約フィー)を受け取り、パフォーマーは観客からの投げ銭モデルを検討しているとのことです。

お店の集客増とパフォーマーの活躍・収入機会の向上、ぜひ実現してもらいたいですね。

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学生部門の最後は、岡山大学1年/株式会社コノテの谷野夏羽さん

「PENTUS 岡山でつながるカテキョサービス」

現役大学生によるオンライン授業を岡山県内の子供に提供するサービスです。

岡山にいるから諦めてしまう高校生までの学生と、都市部にいるから地元に関われない大学生、双方の機会損失をオンライン家庭教師というモデルで解決することを志しています。東大、京大、一橋を始めとした岡山出身の難関大学の現役大学生を、インタビューによる審査を経て厳選。立ち上げ 5 か月で講師 26 名、生徒 8 名を集め、今のところ継続率も 100%。多数のメディアにも既に掲載され注目を集めています。

筆者が個人的に支援している e-education という NPO と世界観が近いように思います。教育格差の是正は社会的に超重要なテーマ。ぜひ成功してほしいです。

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学生部門はここまで。続いて創業部門に移ります。創業部門は、「革新的な新商品・サービス」ないしは「既存のプロセスを革新する実現可能性の高いビジネスプラン」が対象です。

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創業部門の 1 人目は、津山市地域おこし協力隊の岩野大輔さん

タイトルは「サウナヴィレッジ」です。

サウナヴィレッジは、木製ドーム Dome’s でサウナ村→地域コミュニティ活性化を行うというアイデア。

地域の過疎化、コミュニティの弱体化という問題を、家具職人のバックグラウンドを活かして「癒し」×「技術」で解決することを試みています。サウナ好きが集まり村のようなコミュニティが生まれ、地産地消や、地域の人との交流が生まれる世界の実現を目指しています。

開発されたドーム型サウナ Dome’s は県北の針葉樹を使用。既存製品の 2 倍広く、保温性も良いとのことです。

会場には実物も展示されていました(定価は 60 万円)。

個人的にサウナは大好きで色々なところに訪れており、野外サウナの爽快感は何物にも代えがたいことを体で理解しています。本格的なブームになりつつあるため、より低廉で高品質なサウナキットの開発も進んでいくことでしょう。ぜひその激戦を勝ち抜いてほしいと願います。

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続いて、津山種苗にお勤めの國米裕喜さんによる

「飲食店向け野菜コンシェルジュ 結 vege(むすベジ)」。

種苗会社での営業/食育ソムリエ/種苗管理士という様々な顔をお持ちの國米さん。

儲けることが大好きで、農家さんに設けてもらいたいという思いを誰よりも強くお持ちです。一般的に野菜は構造的に儲かりづらい状況になっている中、種苗の専門性を活かして生産者と飲食店を効率的にマッチングすることで双方にメリットをもたらすモデルを考案されました。種苗メーカー、農協、農業普及指導センターと連携して情報提供、生産指導、試作依頼などを実現していく構想です。同じ作付面積でも収入倍増が可能、コメの裏作も可能。小面積で利益でるので初期投資少なくて済み、就農ハードルも下げられる、と非常に大きな可能性があります。

私も田んぼに囲まれた地域で生まれ育った人間なので、「未来の我が子に十分な収入を&美しい田園風景を守る」というフレーズにはグッときました。

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創業部門の最後を飾るのは、吉備中央町の地域おこし協力隊、東尾実菜子さん

「リトリート型研修サービス 「RTS」のご提案です。

岡山に「リトリート」の聖地をつくるという野心をお持ちの東尾さん。

海外生活 10 年、25ヵ国を訪問された経験から日本を客観的に見た際、「時間がなく疲れている」「日常を離れ自分と向き合う場が必要ではないか」と思い立たれたそうです。リトリートは一般的に心身を整える効果が知られていますが、加えて気づきや人間的成長をもたらすという側面もあります。それを能力向上の一環として企業の人材育成に活用してもらえるのではというアイデアです。活動をされている吉備中央町からスタートし、5 年後にはハブとなる施設を持ちたいとイメージされています。

私も人生通算で 60 ヵ国以上を訪れていますが、日本を相対的に見た際に、やはり「自分と向き合う時間への投資」は足りていない国だと感じます。「人が自然とともに気持ちよく生きる」という東尾さんの目指す世界の実現のために、ぜひ一歩ずつ実現していってもらいたいと思いました。

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創業部門もこれで終了。いよいよ最後のビジネス部門です。

ビジネス部門は、創業部門と同様に「革新的な新商品・サービス」ないしは「既存のプロセスを革新する実現可能性の高いビジネスプラン」が対象ですが、加えて「新商品・サービスの実例」も含みます。

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まずはレプタイル株式会社 クリエイティブディレクター 吉田照明さんによる

「DogWith 悩める犬と飼い主さんのサポートプロジェクト」。

動物愛護団体理事長を務められるほどの動物好きである吉田さん。

佇まいや表情からも、穏やかで優しそうなお人柄が伝わってきます。そんな吉田さんのビジネスプランは「悩める犬と飼い主さんのための、お悩み相談コミュニティ→お悩み解決プロダクト開発・販売」です。

他国の統計によると、いわゆるビビり犬(怖がりな犬)は全体の約 4 割いると言われており、日本にその割合を当てはめると、なんと約 350 万頭がビビり犬だということになります。ビビり犬は生活の中で支障が出ることも多く、進行すると問題行動を起こしてしまうこともありますが、そのように深刻化してしまう前にコミュニティの力でフォローすることを実現したいというアイデアです。

近年定着してきた予防医療的な考え方をペット領域にも応用されているとお見受けしました。ペット産業は 1.6 兆円の巨大市場。犬以外にも様々な動物が、人間同様に性格に応じた適切な対応を受けられ、ストレスなく生活できるようになっていくといいですね。

残すところあと 2 人となりました。

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続いては、株式会社 COMPUS の赤木孝臣さん。岡山出身の現役大学生でもあります。

「地方にも長期インターンを」を掲げ、COMPUS というサービスを展開されています。

COMPUS は地方×長期インターン求人のマッチングサイト。

地方でのインターンを希望する意欲のある学生×若い力が欲しい地方企業のマッチング機会を提供しています。COMPUS による長期インターンの定義は、「6 か月以上の有給、実践的、キャリア志向型」であること。都市部と比べ、地方での長期インターン機会は限定的であり、それを解消することを志向して事業を展開されています。

既に学生ユーザ 1000 人と企業 50 社が利用され、マッチング実績も 50 名を突破。今後は15000 ユーザ、1000 マッチングを目指すとのことです。
最後に触れられていた「首都圏の大学生でも地方での長期インターンをしたい人がいる」というインサイトは面白い発見だと思いました。就業機会と労働力確保という観点のみならず、新たな出会いによる情報ギャップの解消から生まれるイノベーションの可能性を、長期インターンという形で提供するのは有意義な取り組みになるはずです。加えていうならば、谷野さんの PENTUS と組み合わせていくことで、多様な地元との関わり方のメニューを提供できるかもしれませんね。今後の展開に期待です。

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いよいよ最後です。トリで登場されるのは株式会社 IroDori の中上遥香さん

「腸を通じて子ども達に健康な未来を。腸もみサロン Halu」のプレゼンテーションです。

「健康なカラダは全て腸から」とも言われるように、昨今注目を集める腸の健康。腸が正常に働くと気分がスッキリする、ストレスが減ると腸の働きが正常化する、というように脳と腸は相互に影響しあっているそうです。もちろん負のサイクルが回りだすと相互に悪影響が出ます。好循環を回すための腸の健康向上を①店舗での施術、②オンラインサロン、③FC化して多エリア展開によって広範囲で実現していくというビジョンを中上さんは描かれています。

今後盛り上がっていく分野であり競争も激化していくことが予想されますが、最初のターゲットとされている【家庭を含めて健康意識の高い 30-50 代の子育て世代の女性】というセグメントをスタートに、着実に実績を積んでいかれることでしょう。日本国民の腸の健康のために是非とも頑張っていただきたいです。

私も Halu に行って直接応援したいと思います。笑

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さて、これで 9 名全てのプレゼンが終了!

審査を待つ間、ステージでは基調講演が行われました。

ゲストは、株式会社一平ホールディングス 代表取締役の村岡浩司さん。

九州の農業素材 100%で作った九州パンケーキミックスの仕掛け人として、一躍時の人になられたのをご存知の方も多いのではないでしょうか。

講演は、今回のコンテストのファイナリスト達のメンターを務めた、合同会社イキナセカイ代表の安川幸男さんとのパネルディスカッション形式で行われました。

様々な学びがありましたが、印象に残ったキーワードとしては、「経済循環のループを九州に閉じることで、逆に開放性を生む」というものでした。閉じた結果広がる、という直観に反するようなフレーズですが、「ここでしか得られない」体験を求めて人ははるばる旅行をするということを考えると、強い・深い価値観が特定の場所にあるからこそ、人がそこに集い、そのコンセプトが人を介して広まっていくというのは非常に腑に落ちる話でした。

※ご興味ある方は是非動画をご覧ください。村岡さんの講演は 1:45:00 頃からのスタートです。

2 人は同い年だそうです

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さて、審査も終わり、いよいよ受賞者の発表です!

●津山朝日新聞社賞:「PENTUS 岡山でつながるカテキョサービス」谷野夏羽さん

谷野さん:「ここまで来れたのは、多くの方のご指導のおかげ。この半年で成長を感じた。
地元に貢献できるように頑張りたい」

●つやま産業支援センター賞:「サウナヴィレッジ」岩野大輔さん

岩野さん:「地域おこし協力隊としてお世話になっている地域の皆様のおかげで、名誉ある
賞を受賞できた」

●津山信用金庫賞: 「腸を通じて子ども達健康な未来を。腸もみサロン Halu」中上遥香さん

中上さん:「ご指導くださった皆様に感謝。腸もみ事業を全国に広げていきたい」

●大賞:「飲食店向け野菜コンシェルジュ 結 vege(むすベジ)」國米裕喜さん

國米さん:「まさか大賞いただけるとは。皆様のお力添えを受けて、また明日からまた地域を元気にする農業に邁進していきたい」
受賞者の皆様、おめでとうございます!惜しくも受賞とならなかった方々も、本当にお疲れさまでした。

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レプタイルの丸尾さんからも、「コンテストという特性上、あえて順位をつける必要があったが、審査上は僅差で甲乙つけがたかった。Homing のスクール生でも最後までたどり着けなかった仲間もおり、一般公募の方も審査をくぐり抜けてこのステージに立っている。全員素晴らしかった」というコメントがありました。

最後に、村岡さんからの総評がありました。

村岡さん「3 分で自分がやりたいことをまとめ上げるのは大変だったと思う。聞いていて、感動的な時間だった。東京などのビジコンで審査員をすることもあるが、皆さんのビジネスプランは地に足がついており、自分はこれで世の中を変えていくというのが前面に出ていてよかった。自分も 28 歳で失敗して父親に助けてもらい寿司職人になった。皆さんもこれから何度も事業を練り直して、うまく行ったりいかなかったりすると思うが、最後まで成功を信じてやってください」

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Homing はこれまで通算で 50 名ほどの卒業生がおり、そのうち自身で創業された方が 13名、所属組織で新規事業を立ち上げた方が 6 名と、全体の半数弱が実際にアクションを起こされています。丸尾さんからも、「Homing は地域でチャレンジする人をつなげて応援していく。みんなが使いたいサービスや商品を増やしていけば、5-10 年後の津山の風景は変わる。観覧している方々も、これを機に Homing に関わってほしい。一緒に地域を面白くして行けたら」という熱い呼びかけが最後にありました。

今後の Homing、津山、そして岡山県の盛り上がりがますます見逃せません!