『食を通して、地域の人のおいしいや楽しい、健康に貢献したい』Homing第1期生の国貞美幸さんにインタビュー

『食を通して、地域の人のおいしいや楽しい、健康に貢献したい』Homing第1期生の国貞美幸さんにインタビュー

岡山県北、つやまで生まれた創業スクール「Homing」の第1期生であり、2019年9月に「家庭食堂ROOF」を創業された国貞美幸さんに、お話を伺いました。

 

(インタビュアー:灘岡もえ)

 

 

創業スクール「Homing」に参加したきっかけは?

 

–第1期生として参加された国貞さんですが、創業スクール「Homing」を知った、参加しようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

「Homing」という創業スクールがどんなものかは、主催・運営のレプタイル株式会社さんの説明会に参加した際に詳しく知りました。当時、私は高齢者向け施設で栄養士として働きながら、フリーランスとなるためにいろいろと勉強していたんです。それでまず、岡山市内で開催された女性創業塾に参加して経営や起業について学びました。

でも、まだ起業のタイミングや場所については悩んでいましたし、独立するにはもう少し勉強する必要があるとも感じていたんです。
そんなときに創業塾で知り合った方から「津山でこういうのがあるから、参加してみたら?」と、「Homing」とその説明会があることを教えていただいて。それで、説明会に参加し、そのまま「Homing」の受講も決めたかたちです。

 

▼ともに創業を目指す「Homing」第1期の仲間たち

 

–起業場所に迷われていたとのことですが、津山も起業地の候補に入っていたのですか?

はい。私は津山市出身で、お店を確実に客足の見込める岡山市内に持つべきか、実家のある津山市に持つべきか悩んでいたんですよ。でもやっぱり津山市にいた方が、家族に何かあったときにすぐ駆けつけられますし、津山で開業した方がいいのかなとも思っていて。「Homing」に参加したのは、もし津山で起業するなら一緒に事業を頑張れる仲間と知り合えるかも、と思ったことも大きな理由の一つでした。

 

▼家庭食堂ROOFでは国貞さんの家庭菜園で育てた野菜も使用している。家庭菜園の朝どれ野菜を料理に使えるのも、実家のある津山で創業したメリットのひとつだそう

 

 

起業する意思はいつ、どんなときに芽生えた?

 

 

–もともとは高齢者向け施設で働く栄養士さんで、独立に向けて勉強されていたとのことですが、なぜ独立や起業を意識するようになったのでしょう?

個々人の体調や事情に合わせた食事を、自分の思うかたちで用意できないことにジレンマというか、もどかしさを感じるようになったのが起業を意識したきっかけですね。たくさんの利用者さんに向けた食事を用意する施設では、一人ひとりに合わせた食事を用意するのはどうしても難しいんです。

でも一方で、食事は利用者さんにとって日々一番の、唯一の楽しみでもあります。
そう考えるとなおのこと、その人の好みや事情に合った食事をオーダーメードで作りたくなるのですが、効率や経営のことを考えるとやっぱりできない。

それならフリーランスの栄養士になって、自分の思うかたちでお客様の体調や事情に寄り添った食事を提供できるようになろう!と決心し、同時に起業することも決めました。

 

▼国貞さんが創業した「家庭食堂ROOF」の本棚。ラインナップからも勉強熱心さがわかる

 

–「Homing」受講も含め、実際に起業されるまでの経緯を改めて教えてください!

岡山の女性創業塾、「Homing」と各創業塾を2018年までに受講し、お店を持つことになったのが2019年のことでした。2018年から2019年にかけては施設で働きながら、ときどきシェアスペースなどへ出店して副業的にお弁当の販売を行っていたのですが、段々と職場に隠しておけなくなりまして(笑)。職場に相談させてもらって、本格的に起業に向けて動き出したんです。

飲食店の居抜き物件を探しているなかで、いまお店のあるこの物件を紹介してもらいました。当時はまだ喫茶店を営業されていましたが、前の持ち主さんにも親切にしていただき、無事、開業することができたんです。物件を紹介されたのが2019年の6月で、お店をオープンしたのが3か月後の9月ですから、かなり急ピッチでしたね。

 

 

創業スクール「Homing」に参加してみた感想は?

 

–実際、「Homing」に参加してみていかがでしたか?起業に役立ちましたか?

津山で起業し、事業を続けていくための現実的な情報や知識を得られる場だったと思います。前に参加した女性創業塾では、将来的な起業をめざす受講生が多く集まっていたのに対し、第1期の「Homing」では既に会社を経営されている参加者も結構いらして。また講師だったり、運営や見学のためにレプタイル株式会社の方や共催の津山産業支援センター、津山信用金庫の方も来られてたりしたんです。こういった津山の企業や事業者支援団体、金融機関の方とお知り合いになれたことが、私の創業においては大きな助けとなりました。

 

▼国貞さんが参加された「Homing」第1期生ビジネスプラン発表会の様子

 

–「Homing」でのご縁は、具体的にはどのように国貞さんのお役に立てたのでしょう?

物件を探していたとき、何度も相談に乗っていただきました(笑)。金融機関ってね、個人的に融資の相談しに行くのって緊張するじゃないですか。でも津山信用金庫に「Homing」受講中に親しくなった方がいたから、事業計画や融資の相談、物件選びなどについて幅広く相談しに行くことができたんです。この物件を紹介されたときも、立地についてどう思うかの意見をもらいましたよ。
レプタイル株式会社の方にも、悩んでいるときに何度も背中を押していただきました。起業を決めかねていたときも「なんで悩んでるの、チャンスだよ!いま行かないと!」って言ってくれて(笑)。

「Homing」に参加していたからこそ、津山市内のこの場所での創業がうまくいったのだろうと感じます。私は本当に運が良かったですね。

 

 

「家庭食堂ROOF」とは?どんなお店?

 

 

–念願かなって、2019年9月に創業された国貞さんのお店「家庭食堂ROOF」はどんなお店なのでしょうか?教えてください!

家庭食堂ROOFは「あなたに寄り添った食卓を」をモットーに営業する食堂です。

名前のROOF(ルーフ)は屋根という意味で、お客様にとって第二の家、家庭であれるようにという願いを込めて付けました。ランチタイムでの定食の提供と、昼・夜のお弁当やオードブルなどテイクアウト商品の販売をメインに行っています。

お料理の特徴としては、味と栄養のバランスを考えたいろいろなおかずを食べていただけること。自分の家庭菜園で育てた旬のものを中心に、野菜をたくさん使った「皆さんに食べてもらいたい」と思えるお料理を日々考え、お皿や容器に詰めてお渡ししています。

 

▼ROOFの日替わり定食は800円。おかずは毎日変わり、この日は豚肉の炒めもの

 

▼昼・夜ともにテイクアウト可のお弁当は700円。この日は鶏の照り焼きと野菜のおかず

 

–お弁当やオードブルに関しては、好きな内容で作っていただくこともできるんですか?

もちろんです!普段、当店のお弁当はその日のランチメニューと同じおかずを詰めていて、注文してからお作りするかたちを取っています。ですからたとえ当日であっても、お受け取りの30分前くらいまでに予約をしていただくようお願いしているんですね。

でもそれ以外に、何日か前に内容のご相談をいただければ、ご希望に沿ったお弁当やオードブルもお作りできますよ。

家庭食堂ROOFのモットーは「あなたに寄り添った食卓を」ですから、好き嫌いはもちろんアレルギーのある方、何らかの病気で治療食が必要な方、介護職の必要な高齢の方、小さなお子さんの食べられるものまで、可能な限り対応いたします。食べる人に合わせ、楽しく食べていただける食事を提供するのが、私のやりたかったことですからね。リクエストに沿ったごはんを作るのは楽しいですし、それでお客様に喜んでいただけたら、とてもやりがいを感じられます。

 

 

「家庭食堂ROOF」と国貞さんのこれから

 

–2021年9月で2周年を迎えましたが、これからの3周年に向けて、家庭食堂ROOFと国貞さんの展望をお聞かせください!

2020年以降、コロナ禍になってテイクアウト商品の販売と外部への出店に力を入れてきました。お客様にお店へ来ていただけなくなった以上、こちらから出向くことも必要だと思ったんです。

そのおかげか、ここ数か月で「地域の方の健康のために何かしたい」と志を同じくする事業者さんとのつながりもできてきて、イベント等に招いてもらえることも増えてきました。

ですから今後もどんどん外へも出向いて、地域の方の栄養状態や健康状態の改善のための「地域栄養」の活動に力を入れていきたいと思います。

 

–素敵ですね。また個人的にごはんをいただきに参ります、ありがとうございました!

 

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栄養士としての確かな知識と料理の腕前、そして地域の人々の食に寄り添い、健康増進に貢献したいという熱意を持ち合わせた国貞さんの今後の活躍に、ぜひご期待ください!