2019.11.09

Homing2019 Day7 雑誌『TURNS』プロデューサー堀口正裕さん「地方だからできる仕事のカタチと地域作りの情報発信」

Homing2019 Day7 雑誌『TURNS』プロデューサー堀口正裕さん「地方だからできる仕事のカタチと地域作りの情報発信」

Homingライターの老伽(おいとぎ)です。

創業スクール「Homing」Day7は、雑誌『TURNS』プロデューサーの堀口正裕さんに「地方だからできる仕事のカタチと地域作りの情報発信」についてお話しいただきました。
その様子をレポートします。

 

【第一部:堀口さん講演「地方だからできる仕事のカタチと地域作りの情報発信

 

第一部では『TURNS』の紹介、堀口さんが仕事を通して感じている地方の現状、地域で事業を始めたひとたちの事例や発信について貴重なお話が聞けました。

 

堀口:震災をきっかけに、地域にあるものを使って事業をおこすひとたちを取材しています。好きなことを仕事にしたいと思い、どう生きるか。いかに豊かに生きるかをテーマにメディアを作りました。
決して地方礼賛ではないのです。ちなみに『TURNS』のタイトルに込められた想いがこちらです。

X、J、C、孫、I、Uターン・・・・
人生の転機
It’s your turn.次は、あなたの番ですよ!


受講生はまさにIt’s my turn.ですね!

 

今は以前に比べて、前向きな移住、関わり方を考えているひとが増えてきているので、企業の働き方改革や共創に期待しています。
“自分自身のワクワク×地域の課題”、これらが重なる部分にヒントがあります。ナンバーワン、オンリーワンではなく、ファーストワンになるべき。
あとは、みんなに事業を知ってもらうためにはメディアのひととうまく付き合うのが大事だと思います。


何をやるか、ではなく、誰とやるか。誰を知るか。誰に聞くか。が重要。人が一番重要!

 

日々全国各地を飛び回って地域で頑張っているひとたちと触れ合い、地域に携わっている堀口さんに、昔から地域にあるものを再評価して、事業を起こした方々の事例を紹介していただきました。

 

島根県向津具市の「純米大吟醸 むかつく」

向津具(むかつく)の棚田米を使った日本酒「純米大吟醸 むかつく」。すぐ完売してしまうほどの人気の商品。長門市の元地域おこし協力隊、津田祐介さんがプロデュース。「純米吟醸酒むかつく」だけでなく、製造過程で出る酒粕で作られた「のむおまもり」(甘酒)や、「龍宮の潮吹」(スパークリング)も販売している。

 

高知県土佐市の「超鰹力」

高知県の名産物である鰹を使った「超鰹力(ちょうかつりょく)」。東京から高知に移住した増井翔子さんが、筋トレ好きが高じて完璧な筋トレ食、打倒サラダチキンを目指して開発。全国のコンビニやネットショップでも販売中。地道に自ら営業にいき、インスタグラムでの拡散も。今では月間3万本も売れている商品に。

 

徳島県上板町の「BUAISOU」

藍の栽培から染色、仕上げまですべてを一貫して行う四人の地域お越し協力隊がはじめた
BUAISOU。今では国内外のファッション業界から大注目を浴びていてコラボレーション商品も多々販売。

 

岐阜県飛騨市「SATOYAMA EXPERIENCE」

暮らしを旅するガイドツアー
白石達史さんが運営する、飛騨の里山を自転車で旅するガイドツアー「SATOYAMA EXPERIENCE」。2010年にスタートし、今では日本人だけでなく海外からの旅行者が訪れるほどの人気ぶり。里山の魅力を再発見するこのツアーは過疎化が進む地域に変化を生んでいる。

 

他にも鹿角市(雑誌風なパンフレット制作し、制作過程を見せることによってPR)や加古川市(「地域×食×高校生 市民参加型プログラム」)の事例もご紹介いただきました。

そして、第一部の最後に堀口さんから受講生に伝えたいこと。

 「必要な素材は身近にあります。そして、地域の未来を創っていくのは志や想いを持つ“ひと”。地域を次代に繋いでいくのも“ひと”でしかありえません。IT’S YOUR TURNです!」

 

【第二部 堀口さんと丸尾のトークセッション】

 

休憩を挟み、第二部は二人のトークセッション。さて、地域と関わりを持った活動をしているお二人から、どんな話がでてくるのでしょうか。


Uターンして起業した丸尾といろんな地域で活躍するひとと関わって来た堀口さんのトークセッション!

 

丸尾:Homingは地域でチャレンジするひとを応援するために行っているのですが、津山にはまだまだチャレンジャーが少ないように感じます。堀口さんがこれまで見てきたなかで、地方のチャレンジャーの共通点はありますか?

堀口:地域に媚びないひと。地元のひとたちに擦り寄らず、ハッキリとものを言うところですね。ただし、独りよがりの発想ではなく、最初は少数でも理解ある地域の方とともに動きながら、地域にとって必ず良い成果に繋がるという強い信念を持っていることが前提ですが。

丸尾:信念を持ってチャレンジし続ける。そのなかで仲間になってくれるひとを増やしていくことが大切ですね。

堀口:あとは、地域にないものを持ってくるのではなく、地域にあるものを使ってやっているひとが多いと思います。

丸尾:なるほど。津山にあるものといえば、なんでしょう?(会場に聞く)


「津山といえば?」みなさん頭を悩ませます。

「うーん、牛肉…?」

「津山に50年住んでいて恥ずかしいけど牛肉しか浮かばない。」

「ホルモンうどんも広がってない気がする。」

私も考えましたが情けないことにサッパリ浮かびませんでした。


丸尾:
付加価値をつけていくことが必要ですね。さきほどのお話しにもあったように、もともと地域にあるものを見直したり、切り口を変えて発信することが必要だと思います。
話は変わりますが、堀口さんは観光や定住について、どうお考えでしょうか?

堀口:観光から移住定住仕事づくりはあり得ると思います。いろんな繋がりができたらいい気がします。

丸尾:関係人口でいうと、マルチワークとか色んな関わり方あると思いますけど、地域を跨いだひとたちを巻き込むのは大事だと思いますね。

堀口:積極的なひとたちが集まる地域は成功している気がします。
自分たちが楽しく事業をつくるのが一番大事。そういうひとたちは自信をもってやっていますね。
自分は地方創生コンサルおじさんではないが、好きでやっている。また、これからは地域と企業の連携が大事。今は前向きに関わりたいひとが多いのでそういう人たちと連携することがいいと思います。

丸尾:自分が持っているスキルを活かし、企業と関わりながらチャレンジし続けることが大事なのかな、と。色んな企業と関わりながら自分の価値を最大化していくということですね。

堀口:そういうひとは色んな繋がりの中で自分自身をアップデートしていますし、今の時代だからできる働き方に変わっていると思います。

丸尾:自分から枠を外してみるのがいいと思いますね。

 

【質疑応答】
第二部が終わり、堀口さんと受講生との質疑応答の時間も少し設けられました。


U
ターンして津山で起業したHoming1期生のKさん

「自分がやっていることを、地域の方に知ってもらうまでのモチベーションの保ち方を教えてほしいです」

 

堀口:私の場合は、TURNSが好きそうなひとや応援してくれそうなひとに会いに行ったり、自分から積極的に動いたりしましたね。仲間と思えるひとたちに接触することを続けました。

丸尾:自分がずっと続けていきたいと思えるかどうかが第一段階。原動力となるのは自分が何を実現したいのか、想いを持ち続けるのが大事だと思います。

 

岡山市から津山に嫁ターンした、Homing2期生のEさん

「地方で起業している女性はたくさんいるでしょうか」

 

堀口:女性の起業家は結構多いですね。福島で毎年女性向けにセミナーをやっていますが、すぐ埋まるほど人気だったりします。

丸尾:女性起業家特集を組みたいという相談を受けたりしますけど、津山では女性起業家は少ない印象があります。

 

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質疑応答も終わり、今回もあっという間に感じた2時間でした。堀口さんの熱い想いは受講生の皆さんにもきっと伝わったと思います。自分が事業を通して何を実現したいのかを考え続け、想いを持って諦めずにやりきるのが大切なことだと話を聞いていて思いました。

 

「It’s your TURN!」